帯状疱疹(たいじょうほうしん)
帯状疱疹は、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV) によって起こる感染症です。
このウイルスは、子どものころにかかる「水ぼうそう」の原因ウイルスと同じものです。
水ぼうそうが治った後も、ウイルスは体内の神経節に潜んでおり、加齢・疲労・ストレス・免疫低下 などをきっかけに再び活動して発症します。
高齢の方に発症しやすいですが、2~30代の若い方にも発症することもめずらしくありません。
症状と経過
知覚神経は左右で分離しているので症状は必ず左右どちらかのみに出現します。
チクチク・ピリピリする痛み に続いて、赤い発疹と小さな水ぶくれ が帯状に現れます。
胸・背中に出ることが多いですが顔や頭、四肢などどこにでも出現する可能性があります。
1~2週間程度の経過で徐々に水ぶくれがカサブタとなり発疹も淡くなり消えていきます。
痛みも時間経過で軽快していくものですが、発症後1ヵ月以後も痛みが続くときは帯状疱疹後神経痛と呼ばれ、年単位で痛みで悩まされてしまうようなケースも稀にあります。
発症から早期に治療を開始することで、痛みの後遺症を防ぎやすくなります。

治療
治療の基本は内服治療で、抗ウイルス薬を1週間しっかり服用します。
発疹が出てから 72時間以内の開始 が特に重要です。
主な薬剤:
- バラシクロビル(バルトレックス®):1日3回内服、使いやすく多くの方に用いられます。腎臓が悪い人には量の調整が必要。
- ファムシクロビル(ファムビル®):同様にウイルスの増殖を抑えます。
- アメナリーフ®:1日1回の内服で済む新しい治療薬です。高齢者にも使用しやすい。
痛みが強い場合は、鎮痛薬(ロキソニン®、アセトアミノフェンなど)を併用します。
帯状疱疹後神経痛(PHN)について
発疹が治っても、神経の炎症による痛みが数か月~数年続くこと があります。
早期の抗ウイルス薬投与と、痛みを抑える治療の併用が重要です。
神経痛が頑固な場合には、ペインクリニックにて専門的な鎮痛治療や神経ブロック注射などが検討されます。
皮膚以外の合併症について
- 眼の帯状疱疹(眼症):視力障害を残すことがあり注意が必要
- 耳の帯状疱疹(ラムゼイ・ハント症候群):顔面麻痺や耳鳴りを伴う
- 陰部・肛門領域の帯状疱疹:排尿や排便の障害を生じることがある
これらの症状が出現した場合は、眼科、耳鼻科、泌尿器科など専門科受診が必要です。
入院が必要となる重症例
以下のような場合は入院での治療が必要になることがあります。
- 髄膜炎・脳炎 を合併した場合(発熱、頭痛、嘔吐など)
- 汎発性帯状疱疹(全身に水ぼうそう様の発疹が広がる)
ワクチンによる予防
帯状疱疹は ワクチンで予防 することが可能です。
現在、日本では2種類のワクチンがあります。
| 種類 | ワクチン名 | 接種方法 | 効果持続 | 費用(自費) | 特徴 |
| 生ワクチン | 乾燥弱毒性水痘ワクチン(例:ビケン) | 1回 | 約5年 | 約8,000円 | 安価・効果はやや短め。 |
| 不活化ワクチン | シングリックス® | 2回(2か月間隔) | 約10年以上 | 約4万円 (2回分) | 予防効果90%以上と高い。 |
2025年からは 65歳以上を対象にワクチンが定期接種化されました。
また、多くの自治体で50歳以上の方は助成対象となり、お住まいの市町村の役所で事前申請することで安くワクチン接種を受けることが可能です。
