掌蹠膿疱症
掌蹠膿疱症は、手のひらや足の裏に「膿疱」という黄色い膿が溜まったブツブツや皮膚の赤み・ガサガサが繰り返し出現する慢性的な皮膚の炎症疾患です。
膿疱の中に細菌はいないため、感染症ではなく人にうつる病気ではありません。
病態
免疫の異常により皮膚で炎症が起こり、皮膚の表層に好中球という白血球の一種が集まることで膿疱が形成されます。
乾癬と共通する免疫経路(IL-17・IL-23など)が関与すると考えられており、近縁疾患と位置づけられています。
臨床症状
- 手のひら・足の裏に小さな膿疱が多発
- 数日で乾いて茶色いかさぶた状になる
- 繰り返すことで皮膚が厚くなり、ひび割れや落屑を伴う
- 痛みやかゆみで日常生活に支障をきたすこともあります
悪化要因
- 喫煙(最も重要)
- 歯周病・慢性扁桃炎などの感染病巣
- ストレス・過労
- 金属アレルギー(一部の患者さん)
治療について
喫煙者はまず禁煙!!
喫煙は、掌蹠膿疱症の 発症・悪化・治療抵抗性に最も強く関与する因子 とされています。
ガイドラインでも禁煙は強く推奨されており、
禁煙によって皮疹が明らかに改善する例も多く報告されています。
治療効果を高めるためにも、禁煙は非常に重要です。
外用治療
- ステロイド外用薬:炎症を抑える
- ビタミンD3外用薬:皮膚の厚みや角化を抑える
- 必要に応じて密封療法を行うこともあります
紫外線療法
治療用の紫外線を照射することで、皮膚の免疫反応を調整し炎症を抑える治療で、掌蹠膿疱症に対し有効な治療法です。
- 外用治療で十分な効果が得られない場合に検討
- 週1~2回の通院で継続します
内服治療
● オテズラ®(アプレミラスト)
免疫の炎症シグナルを調整する内服薬です。
発疹だけでなく、関節症状にも効果が期待されます。
下痢や吐き気などの副作用が出ることがありますが、多くは軽度です。
● チガソン®(エトレチナート)
皮膚の角化異常を抑える内服薬です。
皮膚・口唇の乾燥、肝機能・脂質異常などの副作用に注意が必要
妊娠希望の女性や、その男性パートナーは使用することができません(胎児の奇形リスクがあるため)。
● シクロスポリン
免疫を抑制することで炎症を抑える薬です。
効果は高いものの、掌蹠膿疱症では保険適用外 となります
腎機能障害・血圧上昇などの副作用があります。
生物学的製剤(バイオ製剤)
- IL-17阻害薬、IL-23阻害薬などの注射薬
- 重症例や関節症状を伴う場合に使用されます
- 高い効果が期待できますが、高額であり定期注射が必要です
※当院での治療方針に応じて、必要な場合は専門医療機関をご紹介します。
合併症
- 掌蹠膿疱症性関節炎
胸鎖関節や脊椎、末梢関節に痛みや腫れを生じることがあります。
関節症状がある場合は、整形外科・リウマチ科との連携が重要です。
